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健康コラム インフルエンザとSARSについて


インフルエンザは普通の風邪と症状が似ていますが、38度以上の高熱が出たり、頭痛、関節痛、筋肉痛のほか、気管支炎や肺炎など合併症を引き起こすこともあり、普通の風邪とはまったく違う病気です。特に、乳幼児や高齢者、慢性疾患をもっている人がインフルエンザにかかると重症化しやすいので注意が必要です。
また、今年は世界的なSARS流行後、はじめての冬であり、SARSとインフルエンザの混合流行が懸念されています。SARSとインフルエンザの症状はよく似ているため、同時に流行した場合、混乱を招く恐れがあります。混乱を防ぐためにもインフルエンザの予防接種を受けることをおすすめします。


1.インフルエンザとSARSの違い

インフルエンザは「インフルエンザウィルス」、SARSは「SARSコロナウィルス」による感染症で、まったく違う病原体によるものですが、初発症状は、突然の高熱、筋肉痛、全身倦怠感など極めてよく似ており、症状からは区別はつきません。インフルエンザは通常1週間前後で軽快しますが、SARSの場合には発熱は持続し、発病第2週頃より呼吸器症状が強くなり10〜20%は人工呼吸器が必要なほど重症化します。
 しかし、インフルエンザであっても重症になれば肺炎を併発しますし、SARSも軽症であれば1週間程度で軽快しますので、単純に症状のみから区別することはできません。従って、SARSを疑うときには、実際にSARS患者と濃厚な接触をしたか、介護したか、同居したか、あるいはその体液に接触したかなどの情報が重要となります。両者を見分けるには、医療機関において各種検査を行い、その結果などから総合的に判断することが必要です。

また、インフルエンザは感染してから1〜3日で症状が出てきますが、SARSは感染してから発症するまでに2〜10日かかります。そして、インフルエンザは発症早期に感染力が強いことが知られていますが、SARSは、発病第2週の肺炎期に最も感染力が強くなります。



2.SARS(重症呼吸器症候群)について
SARSは、SARSコロナウィルスという病原体が原因の感染症です。ウィルスは大きさが1万分の1mmほどでもちろん目には見えません。この目に見えない病原体が私たちの体に入り込んで様々な症状を出してきます。一般に感染症とは、感染源から病原体が感染経路(空気感染、飛沫感染、接触感染)を経て、宿主である私たちの体内に入り込み、熱や頭痛、咳、吐き気、下痢など様々な症状を出すことをいいます。

飛沫感染とは、咳やくしゃみなどの「しぶき」を浴びることにより、口や鼻から病原体が体内に入り感染します。この「しぶき」はせいぜい2mほどしか飛びませんから、激しく咳をする人の2m以内に近づかなければ感染しません。また、マスクをすることで、飛沫感染を防ぐことができます。ただし、飛沫は水気を含んでいますので、マスクをするときには表面が水分をはじくものが有効です。

また、接触感染とは、咳やくしゃみなどによりまわりに飛び散った「しぶき」を、知らずに触ってしまった場合に、その手や指を解して体内に入り感染することです。接触感染は、手洗いをこまめに丁寧にすること、また、無意識に鼻や口を手で触れないことで防ぐことができます。

SARSの主な症状

急な38度以上の発熱、咳、呼吸困難感など
主な感染経路:飛沫感染と接触感染
潜伏期間:2〜7日(最大で10日)


3.インフルエンザとワクチン

インフルエンザを予防するには予防接種を受けることになりますが、ワクチンとはどのようなものでしょうか。私たちの身体には病気に対する抵抗力があります。抵抗力が強いと少々の病原体が入ってきても重症になることはなく、治ってしまいます。また、はしかや水痘など、一度かかると次にかかっても軽くすんでしまいます。これは、私たちの体の中にこれらの病原体と戦った記憶が残っていて、再び侵入されても、効率よく戦うことができるからです。この原理を応用したのがワクチンです。

ワクチンは、あらかじめ私たちの体にもし、その病原体が侵入してきても効率よく戦えるように、記憶を植え付ける役目をします。ワクチンは、個人を病気から守りますが、より多くの人々が接種することで、小さな赤ちゃんや高齢者、慢性で苦しんでいる人を守ることができます。また、ワクチンは接種して効果が出るまで最低2〜3週間はかかります。次の日に効くというわけではありませんので、できるだけ早く接種するようにしてください。



4.インフルエンザの日常での予防方法

日常生活ではまず、体調を整えて抵抗力をつけ、ウィルスに感染する機会を減らすことが大切です。また、インフルエンザウィルスは湿度に非常に弱いので、室内を加湿器などを使って適度な湿度に保つことも有効な予防方法です。


(1)栄養と休養を十分にとる

体力をつけ、抵抗力を高めることで、インフルエンザに感染しにくくなります。
(2)人ごみを避ける

病原体であるインフルエンザウィルスを寄せ付けないようにしましょう。
(3)適度な温度、湿度を保つ

ウィルスは低温、低湿を好み、乾燥しているとウィルスが長時間空気中を漂っています。
加湿器などで室内の適度な温度を保ちましょう。

(4)外出後の手洗いとうがいの励行

手洗いは接触による感染を、うがいは喉の乾燥を防ぎます。
(5)マスクを着用する

流行期には、外出する際にマスク(できれば厚手のもの)を着用することも有効です。
また、羅患した人では、咳やくしゃみの飛沫から他人に感染するのを防ぐ効果もあります。


5.今冬のSARS対策とその原因

SARSにはワクチンはありません。有効な感染拡大を防ぐ手立ては「隔離」です。SARSにかかった人たちを一時「隔離」することで、他の人たちへの感染を防ぐことがとても重要になります。平成15年10月初旬現在では、世界にSARSの感染が確認されている地域はありませんので、神経質になることはありません。しかし、SARSが再燃する状況になった場合、海外(特にSARSの発生が確認された地域)渡航や海外からの旅行客が急な発熱や咳などの症状がでた場合は、SARSの可能性を頭にいれておく必要があります。

毎年冬季にはインフルエンザが流行しますが、もし再びSARSの発生があった場合には、急に発熱する疾患はすべてSARSに感染しているかどうか心配する原因に十分なり得ますので、インフルエンザの予防接種などをしておくとともに、体調の維持に心がけ、外出から帰ったらうがいと手洗いを励行するといった基本的な予防法が重要です。

また、自己を守る気配りとともに、咳などがあれば人に感染させないようにマスクを着用するなど、周囲の人も守るということも非常に重要です。




関連リンク
国立感染症研究所感染症情報センター
今冬のSARSおよびインフルエンザについての情報です。

厚生労働省
重症急性呼吸器症候群(SARS)関連情報。今冬のSARS対策について。

重症急性呼吸器症候群(SARS)関連情報
重症急性呼吸器症候群(SARS)に関する日医感染症危機管理対策室からの情報提供です。


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