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V.薬物療法
現在、よく使われている降圧薬には次のようなものがあります。これらの降圧薬は、患者さんの症状や体質に合わせて使用されています。現在、日本でもっともよく使われているのは、カルシウム拮抗薬です。アンジオテンシンII受容体拮抗薬は、最近開発された新しい薬で、作用がおだやかで、副作用が少ない点でも注目されています。
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降圧薬 |
作用 |
副作用 |
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α遮断薬β遮断薬 |
血圧を上昇させる交感神経に作用し、その働きを抑える。 |
立ちくらみ、徐脈(β遮断薬)など。 |
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アンジオテンシンII受容体拮抗薬 |
アンジオテンシンUの働きをおさえ、血管を拡張させて血圧の上昇を防ぐ。 |
効き目が強すぎたときの、立ちくらみ程度。 |
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ACE阻害薬 |
昇圧ホルモンの一種アンジオテンシンIIが、血液中につくられるのを防ぐ。 |
からせき、頭痛、むくみなど。 |
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カルシウム拮抗薬 |
血圧を上昇させる交感神経に作用し、その働きを抑える。 |
立ちくらみ、徐脈(β遮断薬)など。 |
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利尿薬 |
腎臓に作用し、尿と一緒に水分とナトリウムを体外に排出し、血圧を下げる。 |
頭痛、吐き気、眠気、脱力感。低カリウム血症、高尿酸血症、耐糖能の低下。 |
V-1.α遮断薬とβ遮断薬
交感神経の働きが高まると、心臓の働きが活発になり、血管が収縮して、血圧が上昇します。この交感神経の働きをおさえるのが、交感神経抑制薬です。
交感神経には、αとβという二つの受容体があります。α受容体は心臓や血管を収縮させる働きをするため、それをおさえるのがα遮断薬です。一方、β受容体は心臓の収縮回数や血流量を増やす働きがあるので、それをおさえるのがβ遮断薬です。そのほかに、両方の働きを抑制するαβ遮断薬があります。
α遮断薬は、ストレスによる高血圧に効果的です。動脈硬化の原因となるコレステロール値を下げる働きもあります。
β遮断薬は、心拍数が多く、心臓がドキドキしやすい方に適しています。狭心症や心筋梗塞などの虚血性心疾患の合併症をもつ患者さんにも有効です。
副作用としては、α、β両遮断薬ともに、血圧の急激な低下による立ちくらみやめまいが起こることがあります。β遮断薬は、心臓の働きをおさえるため、徐脈といって脈が遅くなったり、だるい感じがすることもありますが、最近はこれらもかなり改善されています。また、β遮断薬を使用していると血糖値が高くなることがあるので、糖尿病の治療中の方は気をつけてください。
V-2.アンジオテンシンII受容体拮抗薬
この降圧薬は、最近になって新しく登場したものです。血管を収縮させるアンジオテンシンIIの受容体に直接作用し、その働きをおさえることで、血圧を下げる薬です。
ACE阻害薬と違って、ブラジキニンやプロスタグラジンといった降圧物質を増量させる作用がないことから、咳などの副作用がみられません。
降圧効果は、ACE阻害薬と同等、あるいはそれを上回るため、今後、幅広く使われるようになるでしょう。
V-3.ACE阻害薬
ACE阻害薬は、アンジオテンシン変換酵素阻害薬の略称です。私たちの体内には、レニン・アンジオテンシン系という、血圧を一定に保つためのシステムがあります。レニンは腎臓から分泌される酵素で、血液中にアンジオテンシンIという物質をつくります。それがさらに変換酵素によって分解さえると、血管を収縮させて血圧を上昇させる働きをもつアンジオテンシンIIになります。
ACE阻害薬は、このシステムの途中に作用し、アンジオテンシンIがアンジオテンシンIIに変換されるのを防ぎ、血管を拡張させます。ACE阻害薬には、降圧効果をもつブラジキニンやプロスタグランジンなどを増やす作用もあり、この両方の働きで、血圧を下げる効果があります。
副作用としては、からせきが出たり、血管の拡張による頭痛、むくみなどが知られています。
V-4.カルシウム拮抗薬
細胞の中にカルシウムが増えると、心臓や血管の収縮が起こり、血圧が上昇します。反対に細胞内のカルシウムが滅べば、血圧は下がります。このメカニズムから、細胞膜に作用してカルシウムが入るのを防ぐことで血圧を下げるのが、カルシウム拮抗薬です。
カルシウム拮抗薬には、末梢動脈を拡張させる作用もあるので、心臓や脳、腎臓の血液循環がよくなります。それだけ降圧効果が高く、いろいろなタイプの患者さんに対応できるので、日本では非常に幅広く使われています。
副作用は比較的少ないのですが、血管を拡張させ、血液循環をよくするだけに、頭痛や動悸、ほてり、むくみなどが起こることがあります。こうした軽度の副作用は、服用する量を減らしたり、効き目のおだやかなものに替えることで改善されます。
V-5.利尿薬
利尿薬は腎臓に作用し、尿と一緒にナトリウムと水分を体外へ排出することで、血圧を下げる薬です。
女性の高血圧の場合、女性ホルモンのアンバランスが腎臓に作用し、むくみを起こすケースが多くみられます。こうした高血圧には利尿薬がよく効きます。また、高血圧患者の中には食塩の影響を受けやすいタイプが多く、そういう方にも利尿薬は有効です。
利尿薬の副作用には、短期的にはナトリウムの低下による頭痛、吐き気、眠気、脱力感、水分の減少による脱水症状などがあります。長期的には、利尿薬のなかにはカリウムも排出してしまう種類があるため、低カリウム血症を起こすことがあります。その場合には、欠点を補ったカリウム保持性の利尿薬を使うか、カリウム製剤で補給します。
また、利尿薬を使用し続けると、痛風の原因となる高尿酸血症を起こしたり、血糖の増加によって動脈硬化への悪い影響がでやすいことも分かってきました。定期的に尿や血液の検査をし、様子をみる必要があります。
薬物療法では薬の使用だけでなく、生活習慣の改善などの一般療法を同時に行います。そのほうが、降圧薬もよく効くからです。降圧薬の効果を高めるためには、指示をしっかり守ることを忘れないでください。 |