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健康コラム 血圧


第一回:血圧と高血圧の概要と病気
I.血圧について  II.高血圧について  III.自覚症状  IV.合併症
第二回:治療方法とQ&A
V.薬物療法  VI.食事療法  VII.高血圧Q&A


II.高血圧について

II-1.血圧値がどのくらいであれば高血圧か
血圧がどの値に達したら高血圧と呼ぶのでしょうか。WHOの基準では、「最大血圧が160ミリ以上、または最小血圧が95ミリ以上」と定義しています。これに対して最大血圧が140ミリ以下で最小血圧が90ミリ以下を正常血圧として扱い、その中間を境界域高血圧と呼んでいます。
1997年のアメリカの高血圧合同委員会(JNC)の定義では、18歳以上の人で「最善」の血圧は、最大血圧が120ミリ未満、最小が80ミリ未満としています。「正常」は最大血圧が120ミリ以上130ミリ未満、最小が80ミリ以上85ミリ未満です。高値正常は最大血圧が130ミリ以上140ミリ未満、最小血圧が85ミリ以上90ミリ未満の場合です。高値正常は正常とはいえ油断のできない範囲です。20代や30代で、この範囲にはいっている人は注意しましょう。
高血圧の域にはいる人は、正常血圧の人に比べて脳卒中や心臓病にかかる率が高いことが分かっていますが、特に日本人は、食習慣により血圧が高いと脳卒中にかかりやすいので、高血圧域に達していない程度の血圧値でも脳卒中にかかる率が高いことが調査済みです。では、脳卒中も心筋梗塞も起こさない安全な血圧値は何ミリなのでしょうか。脳動脈や冠状動脈の病変を引き起こす因子は血圧だけでなく、年齢、性、遺伝の違いはもとより、糖尿病、血清脂肪の異常をはじめ、たくさんの因子が複合的にからみ合っているからです。
つまり、血圧は低ければ低いほど脳卒中や心筋梗塞の危険が少ないことはわかっていても、この値なら安全だという正常血圧値の限界は決めようがないのです。大ざっぱに基準を設けるとしたら、最大血圧なら129ミリ以下、最小血圧なら85ミリ以下ならまず安全といえるでしょう。

II-2.高血圧の種類
高血圧には、腎臓や副腎、甲状腺などの疾患が原因となって引き起こされる少数の「二次性高血圧」と、高血圧の90%以上を占める「本態性高血圧」があります。本態性高血圧とは、遺伝的素因がもとにあり、加齢や食塩のとりすぎ、肥満、運動不足、ストレスなどの環境要因が助長因子となって発症すると考えられています。

同じような生活環境にあっても、高血圧になりやすい人となりにくい人がいるのは、遺伝的素因の違いがあるからです。親や兄弟などに高血圧の人がいるからといって、必ず高血圧になるというわけではありません。しかし、近親者に高血圧の人がいる場合には、食生活や生活習慣を改善することが大切になってきます。

II-3.高血圧症の要因

(1)加齢
遺伝的素因に環境要因が加わることで高血圧を発症するわけですが、だれもが避けられない環境要因に加齢があります。20歳代での高血圧はまれですが、40歳を過ぎると高血圧の割合が増加してきます。若い頃は血管も弾力性に富み、心臓から送り出された血液を末梢まで送るために血管壁が十分に伸びます。ところが、加齢とともに、血管の弾力性が失われて血管壁がうまく伸びなくなり、その結果、血流に対する抵抗が大きくなり血圧は上昇する傾向を示します。食塩や動物性脂肪のとりすぎ、運動不足、喫煙といった悪しき生活習慣は、こうした血管壁の加齢変化を著しく加速し、高血圧への道を開いてしまうというわけです。高血圧自体が動脈硬化を促進しますから、血管の老化はますます進行します。その結果、血圧もさらに上昇するという悪循環に陥るのです。


(2)食塩のとりすぎ
食塩が血圧を上げる危険因子であることはよく知られています。高血圧を予防するには、1日の塩分摂取量を7g以下にするのが理想とされています。
食塩の主成分であるナトリウムには、細胞の水分量を調節したり、スムーズに神経や筋肉が働くようにする作用があり、私たちの体になくてはならない存在なのですが、とりすぎることで血圧を上げる要因になってしまいます。高血圧の人の中には、「ナトリウムの影響を受けやすい」という遺伝的素因をもっていない人も多く、塩分制限の成果が出にくい場合もあります。しかし、こうした遺伝的素因の有無は簡単には判定できませんから、一般には過剰な塩分摂取を控えておくことが高血圧予防になるといえるでしょう。

(3)肥満
肥満は高血圧をはじめ、糖尿病や高脂血症、心臓病などを引き起こす重要な危険因子です。高血圧の患者さんをみると、肥満している人のほうがそうでない人の4倍近くにのぼるという統計があります。また、肥満を伴う高血圧の人の場合、肥満を解消することで血圧が下がるケースも多く、肥満と高血圧の間には深い関係があるのです。
肥満の主な原因は、過食や脂肪分のとりすぎなど、摂取エネルギーの過剰にあります。その一方で、ちょっとした移動でも自動車や電車、バスなどに乗ってしまう、階段を使わずについエレベーターやエスカレーターを利用してしまう、休日は家でゴロゴロすごしてしまうなど、日常生活の中で体を動かすことが減ってしまいます。こういった運動不足による消費エネルギーの減少も、肥満の大きな原因になっています。毎日の生活の中でなるべくこまめに体を動かすことが肥満を予防し、ひいては高血圧を防ぐことになります。

(4)アルコールやストレス
アルコールは適量を守ればストレスを解消し、健康にもよい大切な嗜好品といえます。アルコールを少量飲む人は、飲酒しない人やもちろん大量に飲酒する人よりも寿命が長いという報告があるくらいです。しかし、限度を超えた過量の飲酒が常習化すると、高血圧をもたらす強力な要因となります。
ストレスも血圧を上げる要因になります。ストレスがかかると、抗ストレスホルモンと呼ばれるアドレナリン、ノルアドレナリンが分泌され血圧が上昇します。通常は一過性ですが、ストレスが長期化すると高血圧をきたす可能性があります。
タバコの煙には約4000もの科学物質が含まれ、このうち有害物質が200にも達するといわれています。ニコチンの血管収縮作用や動脈硬化を促進する働きはきわめて強力です。タバコは健康にとってなに一つよいことはありません。
また、寒さも血圧を上げる一因となります。寒さで体温が逃げるのを防ぐために、交感神経が刺激されて血管を収縮させる結果、血圧があがります。一過性とはいえ高血圧の人にとっては、ときに重大な結果をもたらすことがあるため、注意が必要です。高血圧の人が寒風の中で運動することなどは控えるべきです。


出典:Dr.アミールの血圧講座

第一回:血圧と高血圧の概要と病気
I.血圧について  II.高血圧について  III.自覚症状  IV.合併症
第二回:治療方法とQ&A
V.薬物療法  VI.食事療法  VII.高血圧Q&A


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